子育てには答えがない。だからこそ色々なところから様々な考え方やノウハウ、そして育児マインドなどの方法論が議論される世の中になってきています。
現在では、情報過多ともいえる時代でもある日本の令和時代。
我々は限られた時間でこの情報の渦から自分たちの環境にあった子どものための情報を得ていかなければなりません。
それはそれで大変な事ではありますが、もっと大変な状況下で育児をしている国もある・・・。
情報過多な日本のような悩みではなく、裕福なイメージにも関わらず、情報が希薄な中で育児を余儀なくされる国もあるという事を私たちは知っておく必要があるのかもしれないです。
その代表的な国として挙げられるのが、世界有数の富裕国となった、アラブ首長国連邦 (UAE) 。
この国の教育における実態が、きちんとした論文としてまとまっていましたので共有したいと思います。
【タイトル】Knowledge and Awareness Among Mothers Regarding Early Childhood Development: A Study From the United Arab Emirates
【邦題】幼児期の発達に関する母親の知識と意識:アラブ首長国連邦の研究
【雑誌】Cureus. 2023 Apr 2;15(4):e37027. doi: 10.7759/cureus.37027. eCollection 2023 Apr.

UAEと言えば、中東のドバイの印象がありますが、ドバイは7つある連邦の内の一つにすぎません。
ドバイに住む人々とその他の地区の所得間格差はすさまじく、当然の事ながら教育間格差もすさまじいことでも有名です。
ドバイでは海外からの労働者も多く流入しているため、親の教育リテラシーも高いと考えられますが、ドバイ以外で所得が低い地区での親の子育ての認識はどの程度のものなのか?という調査は全く行われてきていなかったようです。
子育てにおいて、幼児期の発達に関する母親の知識は、子どもの発達と行動の重要な決定要因となっています。これが欠落していては子どもの発達に大きな悪影響を与えてしまいます。
そこで、この論文で行われた検証では主に小児期の発達に関する母親の知識がどの程度なのか?について調べています。
200 人の母親に「年齢と段階」の質問票を基にした質問票に回答してもらい、チェックした結果、UAE 全体では子供の発達に関する母親の知識が比較的低いことが示しされたとの事です。
回答者全体の 3 分の 2 は、幼児の運動能力についての重要性についての知識は持っていた (母親の 62% は、子供が頭を上げることができる年齢を知っていた)。しかし、書くことや絵を描くことなどの細かい運動能力は何歳ごろから身についてくるのか?について、よく知っている母親は半数以下だったという驚愕の結果が得られています。
(母親の 44% は、子供が紙に落書きできる年齢を認識)
さらに子供のスピーチと言語スキルに関する知識が不足していたということも浮き彫りとなっています。
社会的スキルに関しては、子供が自分で服を着始める正しい年齢を知っていた母親はわずか8%。それまで過保護に親が服を着させ続けていたようです。具体的に言うと3歳以降まで親が着させていたとのこと。
自分たちで着替えのトレーニングも行える状況にもかかわらず実施させていなかったという状況です。
この育児情報における地域間格差は、効果的な健康教育プログラムを実施する必要性を浮き彫りにしています。
これにより、地域社会での子供の発達の成果を改善するために母親がより良い情報を取っていかねばならないとされています。
またドバイは他国からの流入が圧倒的に多く、その層と王族・貴族が所得を上げていますが、やはり周辺の住民の所得状況は未だに低いという諸問題があります。親は働き詰めで子どもにかける費用も乏しいという諸問題があります。
一極集中型の弊害という点もかいまみえています、
一方で、そこまでこの状況に悲観しているわけではなく、この状況があるがままであると受け入れられているという点が日本とは異なっていそうです。宗教的な影響も大きいかとは思いますが、ドバイは国連の世界186都市を分析した「2020年世界幸福度調査(World Happiness Report)」で総合39位という高位置につけています。
意外ですよね。
ドバイは世界有数の教育国家になりつつあるというのに、その周辺地区はいまだに育児や教育情報が共有されていない。
一方で悲観論が渦巻いているわけではなく、人々は今の状況に一定の幸福感を得ている。
日本でも所得格差が問われていますが、たとえ収入に格差があったとしても、行政サービスやネットインフラなどで最低限の子育て情報を得ることはできます。むしろ、情報に関しては、出所が多すぎて情報過多でもあると言えます(その情報に適した教育ができるかどうかは別問題ですが・・・)一方で、この情報方の状況や子育てに追われる日々で幸福度は低いという実態があります。
アラブ首長国連邦の貧困層での子育ては情報が少なすぎる一方で、イスラム教の教えがベースになっており、あまり子育てに対する危機感を親側が持っていない可能性があるようです。 経済的に発展しているドバイとその他のアラブ諸国との認識が大きく違っている様相もありそうですね。
日本では情報過多、国民性として子どもに対する危機感を感じやすく幸福度が低い
UAEでは情報不足、国民性として子どもに対する危機感を感じにくく幸福度は高い
宗教的な背景や伝統的な文化の背景の違いが日本とアラブ周辺国ではありますが、日本に比べ、このような経済格差や教育格差、情報格差がありつつも幸福度が高いという事は皮肉なことだなぁと感じますね。




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