一昔前は牛乳に対するアレルギーや卵のアレルギーなど、お子さんにとって後々に引きずるものもあり注意喚起が促されていました。
今でもなお、乳幼児期の子育てをされておられる皆様も、アレルギーとどう向き合っていくべきなのか?気にしておられる方も多いかと思います。
今回はちょうど、「ピーナッツアレルギー」に関する最新知見も論文で発表になったので、現状も含めお話しします。
アレルギーって一生ものだから、なるべくアレルギーとなる食物を避けなきゃいけないわ・・・。
いやいや、最近の見解では、アレルギーにならないために少量ずつ試していく事が推奨されてるよ
それにずっと付き合っていく必要もないという見解も出ているよ。
えええ!!もし食べて何か起こったらどうするの!?
意外なことに、何か起こさないためにあえて少量ずる接種して重篤化しないアプローチが注目されてるよ。
今日はその点を詳しく見て行こうか。
というわけで、今回は、あえて摂取することで子どもの「アレルギーを予防する」戦略についてご紹介します。
①そもそもアレルギーって?
意外にもこのアレルギーは紀元前400年前の時点で発見されています。
医学の父といわれるヒポクラテスが「牛乳で嘔吐、下痢、蕁麻疹を起こす」という記述をすでに残しています。
そんな昔から悩んでいる人がいたと思うとこの問題は今も解決されていない大きな医学的問題ともいえますね。
本来、我々の体に異物(ウィルスや微生物)が入ってくると、体の中の免疫が応答して排除するという仕組みがあります。
この異物には「食物」も含まれています。そう!食べ物も人間にとっては異物なんですね。
この免疫の「誤認」が食物にまで及んでしまい、花粉症ならくしゃみや鼻水、食べ物なら、かゆみや発疹や呼吸苦などを生じます。
身体を守るはずの免疫の仕組みが間違った方向に作用してしまうわけですね。
このアレルギーの元となる異物の総称を「アレルゲン」といいますが、花粉やダニやハウスダストや食べ物などに及びます。
誰がなぜ引き起こされてしまうのか?という点はまだ明らかになっていません。
では我々は子どもがアレルギーで悩まないようにしてあげるためにはどうしたらよいのでしょうか?
②アレルギー検査は何歳から?
アレルギーは誰にいつどのように発症するのかはまだ明確ではありません。
ですが、今の医学では、誰にどのようなリスクがあるのかを事前に確認することもできます。
その検査としてはアレルギーを専門としている小児科などで行う事ができる「ドロップスクリーン」という検査です。
この検査では代表的な「アレルゲン」に対してを網羅的に行う事ができます。(この検査の導入先かは医療機関に確認)
保険診療で行える検査で5000円程で注射器を使わない検査です。乳幼児で医療費0円の場合は検査自体は実質無料で行えます。
この検査は腕にする注射ではなく、指先にチョコンと針を刺して確認できますので、
経験豊富な先生は、子どもの意識を別に向けている間に「チクリ」として過ぎに検査を終わらせてくれます。
アレルギー確認項目は下記のとおりです。41種類網羅されており代表的なアレルゲンはおさえてくれています。

【引用】https://www.nc-medical.com/clinical/dropscreen_a1.html
1歳未満ではアレルゲンを感知する免疫系の樹立が未熟である可能性がありますので、医療機関に応相談となります。早いところでは生後4~5カ月当たりでも行ってくれるケースもあります。
この検査は外来で待っていればそのまま検査結果を出してくれることは画期的な所があります。
ただし、このテストは確かに非侵襲的ですぐに結果が出るのでありがたいですが、今までのアレルギー検査に比べてあくまで簡易版であるため「食物アレルギー発症に本当にリンクしているか?」の再現性が取れるかは今後の検証で見ていく必要があります。
また、もしこの検査で陽性が分かった場合は、今までのアレルギー検査として行われていた「RASTテスト」で最終的に判断することが必要となります。
この検査は注射で行う採決方法で、さらに精度を上げて200種類以上の原因物質からアレルゲンを特定する検査です。
特異的IgG検査ともいわれており、免疫応答がどの物質に作用しているのかを確認する検査となっています。
そのため、簡易版である「ドロップスクリーン」でアレルゲンをだいたい特定して、RAST試験で精査するという流れになります。
このRAST検査は1項目調べるのに保険で330円かかりますので、むやみやたらに項目を広げすぎるとコストがかかる問題があります。実際、保健医療で認められているのは13項目までという事になっています。
こども医療では無料になりますが、クリニックによってはこの検査を導入することで赤字になったりするケースもありますので、
検査できる施設かどうかの確認は行うべきではあります。
もっといえば、このRATテストでの結果も、必ずしも「食物アレルギー」と関連するとも限りません。
なので本当の確定診断には至らないという問題点がある事も念頭に置いておかねばなりません。
ですので、結論としてはアレルギーのリスク傾向を確認する事は出来ますが、
確定的なことは言えないというところにまだまだ問題があると言えます。(ですが、傾向を知り予防を行うという点では有用です)
また事項で述べますが、最近は今までのアプローチとは違うアレルギーの治療方法も再検証されてきていますので紹介します。
③アレルギーの過去と今の見解の違いとは?
今まではアレルギーの元となる「アレルゲン」に子どもを近づけないというアプローチが主流でした。
しかし、最近はこの、
アレルゲンの元となる異物に徐々に触れさせていき「耐性」をつけさせるアプローチも見直されています。
これはどういう考え方かというと、アレルゲンとなる食べ物を体に入れた時に、カラダにとって悪いものを排除しなきゃ~という事で免疫細胞君たちが反応してちょっと警戒しておこうという事で、IgG4抗体をゆるっと作り出します。これを事前に体内に持っていれば、本当のアレルゲンが大量に入った時に急激に増加してくるIgE抗体(アレルギーを発症させる抗体)が出ても、IgG4抗体>IgE抗体となっていればアレルギー反応が起こらないといわれています。つまりIgGとIgEは拮抗作用があるとも言われています。なので急激な立ち上がりをするIgEをおさえて急激な免疫反応が起こらないようにするといったメカニズムになっています。
(引用)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23810152/
この方法をベースにしている治療というのが、
花粉症における舌下免疫療法(少量のアレルゲンを舌に暴露させてIg4抗体を作らせる方法)(脱感作療法ともいう)や、
アレルゲンをパッチにして、そのパッチを皮膚に充てて徐々に免疫を強める経皮免疫療法や、
この後述べる「経口免疫療法」というものもあります。
この「経口免疫療法」とは、アレルゲンと思わしきものでも、少量ずつ食べて免疫(IgG4抗体産生)を強めていく方法です。
具体的には、
①かなり少ない量から接種して、軽い症状が出る手前の量(アレルギーの閾値)を見出す
②その閾値よりも少ない量でアレルギーの原因となりやすい食べ物を試していく
(卵、甲殻類、ピーナッツの身の部分などなど)
③問題がなければ徐々に量を増やしていく
といったような方法です。
これはご家庭でもできる事で、離乳食を始めるくらいの時に、ほんのすこーしずつちょろちょろと、一般的なアレルゲンの元になる食材を試していってみるという方法です。(卵とか小麦とかナッツとか・・・)
ただこの方法をご家庭でまずやるにはちょっと躊躇するところもあるかと思います。
なので、まず先にアレルギー検査をしておきたいという方は、検査をしたうえでこの経口免疫療法についてもアレルギー専門医に確認してみるのもよいかと思います。具体的な対応方法も教えて下さると思います。
④最近増えているピーナッツアレルギー
話は変わって、最近ピーナッツアレルギーが増えているというのも一つのアレルギー動向の特徴となっています。
いままでは卵や小麦や牛乳といったものが主体でしたが急に増えてきています。
ピーナッツアレルギーはもともとアメリカで多いアレルギーとして知られていました。理由としては明確で、アメリカは世界でも有数のピーナッツ消費国でもあります。子どもも幼少期からピーナッツに触れる機会も多くアレルゲンとして感知する機会も多かったのではないかともいわれています。
でも今になって、日本で増加傾向・・・それはいったいなぜなのでしょうか?
諸説様々ありますが、主だった理由は下記の通りとなっています。
①日本でのピーナッツ使用機会が増えた(オーガニックで低資質の食材として食卓に並ぶ機会が増えた)
②オーガニック志向で母親の化粧品にナッツ系の素材が入ったものも増えてきた
③ピーナッツアレルギーというよりか、ナッツアレルギーと混同されている可能性
④加工食品に多く入ってくる時代となっている(お菓子や調味料など)
子どもにとっても日常にピーナッツを感じれるくらい接触する機会が増えてきた背景もありそうです。
ナッツ系含有の化粧品を付けたお母さんのほおずりで子どもが発症ってなったら目も当てられません・・。
また、皆意外と勘違いしている点として、ピーナッツは「豆類」であり、「ナッツ系」ではないという事です。
さらにアレルゲンは厳密に言うと「科」によっても大きく変わります。ピーナッツは「マメ科」ですが、アーモンドは「バラ科」、
クルミは「クルミ科」などアレルゲンが異なるという事です。
そのため、先ほど述べた、アレルギー検査で「科」ごとの項目でリスク同定をすることも重要であるという事です。
このように、日本でも日常的にピーナッツが使われている背景と、科ごとの区分けが家庭内ではなかなかできていないという背景もあると考えられます。
⑤ピーナッツアレルギーにおける最新見解
先ほど述べた、アレルゲンを少しだけ体にさらして、IgG4抗体という防御壁を張ってアレルゲンに対する免疫の過剰応答を避けるという方法を適応した方法の一つである「経皮免疫療法」。
実は最近、アメリカのTOPジャーナルにピーナッツアレルギーに関する最新見解が公開されていました。
(本当はこの話をしたかったんですよう💦)
この報告は、ニューイングランドジャーナルという世界でも超!有名な医学雑誌に5月に掲載されたばかりの報告です。
Phase 3 Trial of Epicutaneous Immunotherapy in Toddlers with Peanut Allergy
N Engl J Med 2023 May 11;388(19):1755-1766. doi: 10.1056/NEJMoa2212895.
この試験はもともとピーナッツアレルギーを持っている1~3歳児を対象として、ピーナッツタンパクを含有したパッチ剤を当てて、
本当に経皮免疫療法がピーナッツアレルギーの治療に有用なのかを検証した大規模な試験です。
このパッチを当てた群と当てなかった群とで1年にわたり観察してアレルギーの軽快がみられているかを確認しています。
今までに4歳以上ではこの「経皮免疫療法」の有用性と安全性は立証されています。
一方で乳幼児に対する有効性と安全性は不明であったため行われている試験でもあります。
この試験が注目されてこんな有名なジャーナルに掲載されたり理由は、ちゃんとアレルギーを発症している患者を対象としてパッチを張った群と張っていない群で、患者がどちらに振り分けられるかわからないまま比較し、さらに前向きに評価した点にあります。
結果ですが有効性としての奏効率(アレルギーが治療開始後から軽快しているかどうか)はパッチ張った群で67%、
張らなかった群で33%となっており、有意な差をもってパッチ剤の有用性が高かったという結果になっています。
安全性においては両群間に差はない・・・ですが、
パッチを張った群では4/224例(1.6%)のアナフィラキシーショックが発現しています。
結論としては、「ピーナッツアレルギーのある1~3歳児で、少量(250μgのピーナッツアレルゲンを含む)パッチ剤の1日1回12カ月間の経皮免疫療法は脱感作の点で張らなかった群より有効であり、治療中のピーナッツアレルギー反応を低下させる効果がある」と述べています。
パッチ剤を張った4例でアナフィラキシーが出ている点はちょっと気になります・・・が、これが多いかどうかはまた更なる議論が必要になると思います。ただ、先ほどの理論であるアレルゲン少量暴露による脱感作の有効性が示されたエビデンスが一つ増えたという事になります。
まとめ
アレルギー物質を避けるより、少しづつ取らせていく事も大事なのね。
家庭でできるところは少量ずつ出始めていくのもよいけど、保育園・幼稚園に行く前や就学時など、外で食事をとる機会が増えてくるタイミングには検査も合わせておくと効果的かもしれないね。
要請であった場合はどれくらいの頻度で見直せばよいのかしら?
6か月に1回は見直しが推奨されているね。子どもの場合3歳や6歳当たりで軽快するとも言われているので、その見極めのタイミングでアレルギー専門医に相談するのが良いかと思う。
まずはこの子も1歳以上になったら、アレルギー専門医に相談してみようかしら。
アレルギーの歴史は長いですが、まだまだ分かっていない事も多いです。
しかし着実に医学は発展し、有効な手立ての糸口も見えつつあります。
お子さんを食事の悩みから解放させてあげられる未来も近いかもしれません(偏食は別💦)
このシリーズは私の大好物でもありますので、アップデートがありましたらまたご報告します(⌒∇⌒)
おススメ書籍としては下記です。凄くわかりやすく具体的な例示で示してくれています。
医師監修の基で書かれていますので、一度ご覧になってみて下さい。

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