うちの長女は中学生。毎日毎日、友達とSNSばかりしていてすごく心配・・・。大丈夫?
みんなと連絡してないと不安なの。それにあの子、既読になっても全然返事が来ない。嫌われてるのかな・・。
Hey! 最近ご飯食べてないんじゃないのか?何か悩みがあるのか?
最近友達の間でダイエットが流行ってるの。あの子細くてうらやましい・・今日ご飯いらないわ
ちょっと、最近あなた全然ご飯食べていないじゃない。それに目がうつろよ・・大丈夫なの?
このお話はアメリカで実際にあった話のようです。
お年頃の子だから、色々悩んでいて食が細いのかな・・・?いえいえ、それだけではない心の深淵があったりします。
アメリカではSNSの普及に伴い、若者のメンタルヘルスの危機が助長されてきているとすでに警鐘が鳴らされていました。
この点は、日本でもスマホが普及して、未成年がスマホを持った時の変化として皆様も体感しているのではないでしょうか?
デジタル化が進み、スマホやタブレットが身近な存在になりつつある現在。米国では当たり前のように子ども達もスマホやタブレットに触れるようになってきています。皆、スマホで何をしているかというと、「ソーシャルメディア:以下SNSと略します」を日常的に使用しており、友達との連絡や情報収集などで使用頻度が高いといわれています。
米国のメンタルヘルス専門家10人にSNSがメンタルヘルスの危機を助長しているか?という問いに対して8名がYesと答えたくらいですのでこの問題は見過ごすわけにはいかない問題でもあるでしょう。

もちろんSNSは親や仲間とのコミュニケーションを取る上で重要なツールであることは間違いないですし、本来は人の生活を豊かにするために産み出された技術でもあります。
しかしながら、皮肉にも現在のSNSは子どもの精神的健康に悪影響を与えるものであるという研究結果も数多く出てきています。
2017年に英王立公衆衛生協会(RSPH)という団体がSNSが若者の心に与える影響について報告しています。その結果、youtube、インスタグラム、スナップチャット、フェイスブック、Twitterを比較したところ、インスタグラムを使っている若者の不安感や孤独感やいじめや外見への劣等感など否定的な印象を強く持っていることが分かったようです。
https://www.rsph.org.uk/static/uploaded/d125b27c-0b62-41c5-a2c0155a8887cd01.pdf
この他にもアメリカのペンシルベニア大学が発表した論文ではSNSの利用時間を1日30分に制限した若者でメンタルヘルスが制限しなかった群に比べて有意に改善したという結果も出ています。
特に自分の友達や近い距離の人の写真や活躍状況を見る事で自分と対比して落ち込み、孤独を感じる事が多かったようです。ですのでSNSを断捨離することで「人と比べる事が少なくなった」という事がココロの傷を回避したのかもしれません。
このようにアメリカでもSNSが若者の心に傷をつけてしまう事に大きな懸念を感じており、各種企業も子どものココロを守るための取り組みを行っています。
アメリカでその取り組みの第一人者となっているのが、意外にもボディソープなどや化粧品で有名な「Dove社」です。

Dove社の「自己肯定感(Self-esteem)計画」の一環で様々なリサーチを行っています。
その結果、今までに見えてこなかった問題が多々見えてきます
このDove社が抱えるprojectチーム「2023 Dove Self-Esteem Project Research for Kids Online Safety」の最新調査によると
2023 年1 月から 2 月の間に米国、英国、カナダで、グローバルな学際的な研究、分析、およびデータ コンサルタント会社である Edelman DXI によるオンライン調査を通じて実施されました。女の子 1,318 人、男の子 556 人、親 1,520 人、一般人口 4,046 人、若者のメンタルヘルス専門家 154 人 (合計サンプル数 7,594 人)の調査
•若者の 80% は同世代の80%がSNSに夢中だと自覚
•若者の 50% 以上が、SNSで自分や仲間が不安を感じている
•10 人に 7 人の若者 (10 ~ 17 歳) が、SNSで減量や体の変化を促すコンテンツに接触
•米国の若者の 76% は、SNSで「外見を変えたい」と思う
•若者 (14 ~ 17 歳) の 51% が食事制限や摂食障害を助長するコンテンツに暴露
•メンタルヘルス専門家の半数以上がSNSで有害な美容コンテンツで子どもの摂食障害や自傷行為につながる可能性を示唆
アメリカの親の半数以上 (58%) が解決策は法律制定しかないと述べている
という結果が出てきています。
もともとDove社は美容にポジティブなイメージな変化をもたらすことをVisionとして掲げており、SNSで蔓延しているネガティブなイメージを是正する目的で色々とリサーチをしているようです。
SNSでは「過度なダイエット」が蔓延していたり、自傷行為や摂食障害や性的なコンテンツなどがひしめき合っています。
少なからずともそれに影響を受けた未成年者のココロや健康に大きな悪影響を及ぼすことは確かです。
アメリカで社会問題となっているのは、「自殺率の急上昇、自傷行為による入院や10代のうつ病」などです。
これを大問題と感じている企業や団体は、Dove社と提携して、SNSに対する法改正を求める大々的な活動を起こしています。
これは対岸の火事ではありません。アメリカに似た文化を導入している日本でも同様の懸念があります。
実際に日本でもSNSが子どもの自己肯定感の低下や摂食障害などを助長する可能性などの問題点が取りだたされています。

上記論文は日本摂食障害協会で行われた当事者対象の調査の結果をもとに、コロナ禍での外出自粛期と自粛解除期における摂食障害の状況や課題について分析しています。その中でもSNSは、摂食障害の当事者にとって情報交換や支援の場となる一方で、自己評価や他者との比較の対象となり、摂食障害の悪化や再発を招く可能性があることを指摘しています
他にも、若い女性の摂食障害の原因としてマスメディアの影響を挙げている。子どもはSNSやwebにおいては医学的な見地より、見栄えの良さを優先しタレントやインフルエンサーなどの影響を受けやすい。やせや体型へのこだわりの強い摂食障害患者ほど、食生活やダイエットに関する記事、摂食障害患者の日記や闘病記などを読んでいる可能性が示唆されていた
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と食行動およびボディイメージとの関連についての研究―女性摂食障害患者と女子大学生の比較検討を通じて― | CiNii Research

この報告もメディアで取り扱われる細身を肯定するイメージに未成年者が引っ張られる懸念を問題提起しています。
もともと摂食障害傾向のある子のイメージをさらに強めてしまうという事もありますが、健常人でも「あの人のようになりたい」という欲求が別のモチベーションに繋がってしまい内面の問題に発展してしまうリスクもあります。

なにもそれは憧れの存在だけではありません。TwitterやInstagramでは友達とのやり取りもあるかと思います。
子どもにとってはそこで見えてくる輝いている「身近な存在」に心を揺さぶられることも多い時期でもあります。
「あの子のようになりたい」、「あの子は輝いている」と身近な存在や憧れの人と自分の対比をしてしまう事で、
子どもの心に大きな葛藤を生じさせてしまうリスクが出てきてしまうので注意が必要です。
そうさせないためにも、親側も事前に予防線を張っておいてあげる必要性があります。
皆がのぞき込むスマホの画面・・有名なニーチェの言葉を引用すると・・・。
「深淵(SNS)をのぞく時、深淵(SNS)もまたこちらを覗いている」
この深淵に魅了されてしまうと、子どもの心の中に潜む「闇」が大きく拡大する危険性があるので注意です。
そうさせないためにも、親側は「親子共に」心の回復力を司るレジリエンスを高める必要があります。


このレジリエンスを高める方法はまた別記事で紹介したいと思いますが、「それはそれ」「わたしはわたし」という心のしなやかさを持たずしてデジタルツールに頼ってしまうと「闇落ち」してしまう可能性が高まりますので注意が必要ですね。
まず我々親側が子どもとSNSとの適切な距離感、友達付き合いのあり方、子どもの自己肯定感とスルースキルを身に着けさせる事
など子供を守るための術を考えておく必要がありそうです。
今回は問題提起にとどまりますが、具体的にどういう手段で対応についてどうするべきかを、数多くの親と子と対話を繰り返してきている小児神経科医とコラボして解決策を考えています。
これらに対する科学的なアプローチや具体的な方法などを下記で情報共有させてください。
この会の目的は、「発達特性で悩む親や子が多いにも関わらず、その心のケアをしてあげるべき児童精神科医が少ない事が社会問題化している。そのため、診療とは別に、親御さんができる子どもの能動性を引き出すために取り組みなどを紹介する場を提供し、一人でも多くの親と子に能動的になってもらいたい」というスローガンのもと、立ち上げた会でもあります。
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