【世界の中で日本は特殊】なぜ日本は人口減でも新築が多いのか?

いやー、不思議ですよね。子供って、何気ない事をしゃべっているようで、本質を突いたようなことを(たまに)言ってきます。

この問題を考えるきっかけになったのは、子供からの何気ない一言からです。

「ぱぱー、なんで、いまひとがへってるのに、いえがこんなにたくさんあるの?」

とあるニュース番組を見て「少子高齢化」が題材となっていたのですが、娘がそのニュースを記憶していたのでしょうか?素朴な疑問ではあるけれど、本質を考えると結構根深いですね。

今回は子供に教える日が来ることを考え、この問題を真摯に考えてみたいと思います。

高齢者が増え、一方で子供が生まれてこないので全体として人口減となっていくこの社会。

下記は総務省統計局が出している人口推計で1950年から2021年にかけての人口増減を出しています。

統計局ホームページ/人口推計/人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐ (stat.go.jp)

これを見ると2007年あたりからマイナスに転じています。団塊世代のベビーブームがちょうど1950年代あたりなので、その勢いは以下に凄まじかったのかがよくわかるグラフにもなっていますね。一方で2000年以降は散々な結果です。

人が減るということは必然的に、それに見合った生活の場となる「家」や「部屋(アパートやマンションなど)」も減るはず。にも関わらず生活県内では大して家も減っているようにも思えず、さらには山地が切り開かれ家がさらに立ち続けていたり、建て直しで新築がどんどん増えてくる・・。という状況です。

ただ単に、皆が生活しやすいエリアなので、他の地区から集まってきて生活の基盤を作るために家を建て直しているんじゃ?と最初は思っていました。ただ、それならば、中古を買った方が割安ですし、最初のイニシャルコストも下げられる(ローンを組んでも減額できる)。いくらローンをかけるといっても月払いを抑えたい・・という気持ちも働きますよね。

私も不動産関連の勉強を丁度始めているのですが、この点を突き詰めていると意外な事実が見えてきました。

それは・・。

なぜ日本では新築が多いように思えるのか?※クリックすると各項目にとびます

①「世界の中で日本の不動産における税制が特殊である」

②「日本人特有の性質」

③「日本政府の制度上の問題」

という点が挙げられそうです。順を追って紹介していきたいと思います。

目次

世界の中で日本の不動産における税制が特殊

まず一つ考えられるのがこれです。日本は結構特殊な不動産基準を所有者に課しています。それは下記の住宅の「構造別の法定耐用年数」が基準となっています。各構造上の建屋は建立からの年数によって資産価値が減衰していくというものになっています。

「耐用年数」の謎!木造住宅は22年を超えても住み続けられるのか? | 不動産投資ユニバーシティでアパート経営・マンション経営を学ぶ (fudousan-onepercent.com)

耐用年数は3つに分類されており、「減価償却面での耐用年数:法定耐用年数」「融資対象としての耐用年数:経済的耐用年数」「実際に居住できる耐用年数:物理的耐用年数」となっています。

たとえば木造アパートを建築すると22年でその価値は0円になってしまいます。じゃあ無価値なのか?というと、実際は、上物である不動産は価値0円だけど、土地には価値がつくよ。というパターンも多いので、22年経った物件でも土地を担保に銀行から住宅購入時の融資は受けることは可能であります(ただし、土地にそれなりの価値がある事が大前提)。

土地はともかく、不動産はこのように減価償却による価値減衰があるので、日本は世界に比べて住宅の資産価値が低いというのはよく言われていますね。そのため中古で販売するときには新築に比べてはるかに安く買いたたかれる事にもなりますし、相当年数がたってしまうと逆に解体費用でマイナスになってしまう事も考えられます。

アメリカなどでは今までずっと、「中古物件を安く購入し、自身でリフォームを行い、資産価値を上げてから高く売る」事をメインに置いています。自分自身で資産価値を上げて、さらに税制控除を受けてリフォーム費用を下げるという仕組みを理解しているからともいえます。

日本でも徐々にリフォームの考え方が広がっています。近年ようやく日本もリフォーム減税制度を取り入れ始めました(遅すぎるくらい・・)。今後の方向性としては、資産価値の落ちた中古物件を買ってリフォームをするというのもありかもしれません。

仕組みは別サイトで詳しく述べられていますのでご参考に・・。(下記リンクを張っておきます)

リフォーム減税制度や行政単位でのリフォーム補助金制度をうまく使える時代にもなってきていますので、新築というオプションもありますがこれらの制度をうまく活用した方法も検討していきたいものですね。

②日本人特有の性質

先ほども触れましたが、アメリカでは「中古物件を安く購入し、自身でリフォームを行い、資産価値を上げてから高く売る」事で対応をしてきました。一方、欧州では「アンティーク」という言葉があるように、古い家であったとしても、古くなることそのものが伝統を紡ぎ、時間を経るにつれ価値が上がっていくという考えで、補修を繰り替えし資産価値を上げています。

では日本はどういう認識か?日本は家屋を「消費財」として認識してきました。そのため、世界から見ると珍しく、立てた瞬間の価値が最大で、その後みるみる価値が下がっていくという事になります。

じゃあ、なんで日本人はそんな消費財の高値掴みのような事をしてまで「新築」にこだわるのか?

この点は様々な好みなどが入ってくるため、明確なエビデンスは作りにくいですが、

①「新車や新品のように新しいものに惹かれやすい」

②「新しい注文住宅で家族の時間を過ごそうキャンペーン(住宅メーカー)」

③「新築で建てた方が中古物件よりもローンの融資枠がとりやすい(資産価値がまだ大きいから)」

④「新生活を始めるというイメージや子育て世帯のイメージなどを持っている」

⑤「注文住宅で自分のオリジナリティを活かした家を建てることができるようになってきた」

⑥「老朽化をまだしておらず台風や地震などの自然災害対策にもなる」

などなどが考えられるでしょうか。

わたしも、学生の時までは、社会人は家を買って一人前、一国一城の主になる事が当たり前なのだと思っていましたし(汗)

また、日本人は世界の中でも「清潔感」を重視する傾向があります。新築のあの清潔感を色々なメディアや動画でみてしまうと、憧れやイメージが膨らみ、新築住宅購入意欲が増すという国民的な背景もあるかもしれません。また安全性を重視する傾向も強いため、災害に強い状態である新築を皆求めますし、国や行政も安全性が高い物件に住むように促している点も寄与していると考えられます。

ただこれは悪い事ではなく、新築を立てるように仕向けなければ住宅関連業の失業率が増える可能性もあります。

何よりも新築物件の方が中古物件よりも利益率が高いという点も業界を存続させる理由にもなります。

日本も裕福な世帯とそうでない世帯の二極化も進んでます。仕事が多く人が住みやすく生活インフラが整いやすい都心部では裕福な世帯が建て替えして新築を立てたりする一方で、都心部以外の人が少ないところでは空き家が目立つ状況が続いている。そのため政府は人口過剰地区の人口を分散させるために空き家バンクや地方移住を推進し始めてきた・・という構図だとも考えられます。

おそらく就労者の賃金が上がらない状況でもあるため、都心部に住んでいる世帯も、経済的にも新築より中古に目が向きやすい時代になりつつあります。昭和時代にメディアと政策が打ち出していた、新築マイホームをフルローンで買うという幻想も全体には通用しにくくなっているのは確かかもしれません。

③日本政府の制度上の問題

日本政府は、昭和初期、世帯拡大を推進するため、住宅公団やニュータウン化を推進してきました。中にはゴーストタウン化したニュータウンや団地がどんどん出てきているのは目に見えてきているかと思います(日本のゴーストタウン一覧)。

一言でいえば、昭和の制度設計のまま平成時代を突っ走り、令和になって「やばい」と思って政府も対策を考え始めたんじゃないかと思わせるような後手後手の対応となっているのが現状かと思います。

なぜ失敗したのかは色々理由はありますが、住宅そのものが狭い(60㎡程度)のでもともと大家族には不向き。そしてニュータウンだった地区の高齢化が進み入れ替わりがない、企業や都心部のアクセスが悪い(企業誘致や活性化に失敗)、老朽化が進む建物の補修ができていない、若者世代の都心流出などなど、もうありとあらゆる変化についていけなくなったためでもあるかと思います。空き家が進んでいるのはこういうエリアかともいえます。

そこに追い打ちをかけるように、「減価償却面での耐用年数:法定耐用年数」を取り入れているので資産価値は0円。さらにマンションなどとは異なり、修繕費を集めて積み立てていない1軒屋や集合住宅では補修費の捻出が困難。また建物には固定資産税はかからなくとも土地においては税を払わなきゃいけないし、建て替えなんて無理、更地に戻す費用も・・ない。すべてがマイナス要因にしかならない。

さらに、固定資産税では、耐用年数を経過し減価償却の終わった資産や帳簿上備忘価格(1円)の資産でも、事業用(いつでも事業の用に供し得る状態のものを含む)は、取得価額の5%を限度とした評価額が課税台帳に登録され課税対象となります。事業やっている人はたまったものではないですよね。

なので、所有名義を隠したまま逃げるように去っていく=空き家に繋がる

という構図も理解できます

先ほどのリフォームを推進するのが遅すぎたというのも、間違いなく平成時代の日本政府の仕掛け不足ではあると思います。

新築を推し進める背景には、政府が、「新築を立て続けた方が、不動産市場や住宅市場の活性化に繋がるので良い」、だから「住宅の資産価値が落ちて中古住宅が売れなかったとしてもそれはそれで構わない」と判断していたのが大きそうです。ただし冒頭で述べた「少子高齢化」の問題があるため、この考え方は適合しにくくなっています。

ようやく国もその軌道修正にちょこっと足を突っ込んだものと考えられます。

あとは、市民感覚がどこまで「マイホーム幻想」から「リノベーション・リフォーム」に向くかは今後次第ではあるでしょうか?

これからの住宅を価値あるものにするためには?

もともとは夢のある住みかとして勝ったにもかかわらず、どんどん色褪せて補修もままならない・・住宅ローンに追われて、建て替えや修繕の費用捻出なんて・・いっそ安値で売ろうかしら・・。となってしまうと夢はありません。

となると、先ほどのアメリカの事例に合ったように、うまくコストのかからないリノベーションやリフォームを導入しつつ、資産価値を維持ないしは上げながら、住み続けるか売却するかを考える必要がありそうです。

日本の制度は旧態依然としている所はありますが、中古物件購入時のリフォーム控除や助成金をうまく活用しつつ資産防衛を行っていきたいものです。

それに気づかせてくれた娘のあどけない質問に感謝!!

皆で、自分の力や安くリノベーションを行い、資産価値を上げていく事を考える時期に差し掛かっているのかもしれませんね。

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この記事を書いた人

海外での子育て事情や科学論文などから日本の育児に行かせる内容を情報共有していきます。自分の子が発達特性持ちなので、発達障害関連の話題も盛り込むかと思います。

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