令和時代に入り多様性が拡がりつつある社会。多様な方々が活躍しやすくなったと言えばそうなってきつつありますが、その多様性の産み出す影で心をすり減らし、色々思い悩み、うつ状態になってしまっている人も多いかと思います。
成人して社会の中で鬱になってしまう方もいれば、子供でも学校生活などで鬱になってしまう人もいます。心苦しい状況であり、モノや機会に恵まれても心が持たない、そんな状況で苦しんでいる方をなんとか救いたい。その想いで書いた記事です。
発症の原因は様々ではありますが、うつ病はどういう状態かというと、
「感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じている状態」
という事が定義上述べられています。(厚生労働省の定義)
その不調から子供たちをいかにして脱却させるか?ここには親御さんのサポートも必要になってきます。
子供の「うつぬけ」「うつの予防」「自己肯定感の醸造」などに役立つ海外情報がありましたので記事に起こしています。
「Church News」というイエス・キリスト教会の公式出版物ではあるのですが、内容的に非常に役立ちそうな内容であったので取り上げています。普段こういうの見ないのですが、海外のサイトで「子供の自己肯定感」を上げるための手段を探しているときに見出したニュースとなります。
‘Service changed my life’: The protective factor of service in combating feelings of depression and anxiety
(うつや不安の感情と闘うための奉仕活動を通じてのメンタルヘルスケア)
結論から言うと、「うつ病や不安神経症を患っている子供が社会貢献を通じて、人間関係や自尊心の向上がみられた」という話題です。ですが、その背景が深い。そしてその自尊心改善にはそうなるためのメカニズムがあるという事を本記事では紹介できればと思います。本記事は、海外エピソードとうつ病エピソードと回避に繋がる根拠と今後の日本でのアプローチの3点でお届けしています。
クリックすると関連行に飛びます。気になる部分からどうぞ
①うつ病を克服した海外エピソード
このエピソードの主人公はメグさん13歳。彼女は転校したばかりで友達もあまりいなかったようです。そのため
昼休みに学校のトイレに隠れたり、泣きながらお母さんに電話したり家では自分の部屋に一人でいることが多かったそうです。
当時の事をメグさんはこう語っています。
「学校を辞めたいと思った。」「うつ病と不安神経症でどん底に落ちた。社会的な場面では、本当に心を閉ざしてしまうんです」
そして日々、メグさんが心を悩ましているとき、クリスチャンである彼女の母親であるオータム・ストリングアムさんは、教会がコミュニティ組織や慈善団体がボランティアのニーズを掲載するウェブサイトやアプリを立ち上げるとのことで、そのプロジェクトに参加するため、娘と共に数か月間出向かなければならなかったようです。
そのこともメグさんは下記のように語っています
「初対面の人たちと一緒に地域社会に出て、気まずい雰囲気の中で奉仕活動をするのは、一番やりたくないことでした・・でも、我慢しているうちに、だんだん楽になってきました」
そんな、心落ち着かない状況で教会の行事を手伝うことになっていたようですが、メグさんはホームレスの避難所や貧困に直面している人々に対するボランティアを通じ、共感力が高まるとともに、落ち込んだ状態から抜け出せたようです。
そしてメグさんは現在20歳、貧困に悩むすべての子供たちに対するボランティア活動の取り組みを始めたようです。
メグさんは過去の事をこうも振り返っています。
「苦労しているのは自分だけではないのだと気づかされました。そして、温かい食事を提供し、人々の笑顔を見ることで、その人たちを助けることができたのです」
13歳の頃にふさぎ込んでいたメグさんはもういません。自分自身の目的を人と触れることにより見出し、それが自分自身の大きな力になった事を自覚されたからなのかもしれません。鬱抜けの一つの大きな要素は、この「自己肯定感」にあるものと考えられます。
②社会奉仕活動がうつ病回避につながるメカニズム
このようなボランティアなどの社会奉仕活動がうつ病の改善に繋がるという学術研究は色々な所で再現が取れています。
イエスキリスト教会が設立しているBrigham Young University(ブリガム・ヤング大学)の家庭・社会科学学部の学部長であるローラ・パディラ・ウォーカー博士は、うつ病の症状と奉仕活動には関連性があると述べています。
「10代のうちに向社会的な行動をとることは、友人や家族とのより良い関係、希望、粘り強さ、感謝、自尊心など、さまざまな保護因子と関連しています」
「そして、人間関係や自尊心は、うつ病のレベルの低さと関連する」
https://www.thechurchnews.com/living-faith/2023/2/12/23591586/teens-depression-anxiety-service-projects-protect-research
他人を助けるという一連の行動は、子供や若者の「目的意識」と「自尊心」を促進し、「無価値観」や「うつ病」から守ってくれる。
うつ病の定義は「感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じている状態」
という事を前述しています。つまり、目的意識の欠如や無価値観などから生まれる「受け身」な状態が、子供のうつ状態を悪化させる可能性があるという事にもなります。この受け身の連鎖を断ち切る事が大事でもあるといわれています。
この受動的な状態を能動的な状態に持っていく事こそが「鬱抜け」として重要なのではないかという事になりますね。
実際に、ローラ氏も次のような言葉を残されています
若者が他者に奉仕することを支援し、他者から必要とされ、価値ある存在であるという自己概念を構築することができれば、それは鬱症状との戦いに役立つ可能性がある
https://www.thechurchnews.com/living-faith/2023/2/12/23591586/teens-depression-anxiety-service-projects-protect-research
下記の図は、11~14歳までの聖書年を対象としたアンケート調査で、最も思い悩む思春期初期に、他者救済など人の感謝を得られる高いレベルのボランティア活動を行った人は、「希望」「感謝」「自己肯定感」が高い傾向にあったようです(下記の図は統計的な解析を行っていないので、あくまでも改善傾向があったというニュアンスで見て頂ければと思います)
他者救済がなぜ高レベルの奉仕活動にされているのか?に関しては、先ほどのメグさんが経験したように、家族とは異なる「知らない人と同じ境遇にいる事」はその人にとって高いストレスレベルにあるという事にもなります。
その境遇で「他社からの感謝」を得られることそのものが「大きな自己肯定感」に繋がる、良い強い他者貢献度から「自身の価値観を高める」事にも繋がると考えられているからのようです。
鬱である状態から抜け出す方法はほかにもいくつかあるかもしれませんが、
「自分にとって馴染みのない環境で自身自身が動いて、家族ではない誰かから感謝を得られること」
これがかなり効果的である可能性というのを感じさせてくれる事案です。
③自己肯定感を上げるための令和時代のアプローチ
上記からの学びを日本で活かすとするならば、最初はすごく腰が重い子供を何とか外に連れ出し、社会活動に参加させるという事になります。結構大変なことではありますが、それが最初の一歩になるかと思います。
ただし残念なことに、日本ではボランティアの定着率が低く、国民性としてあまりそちらに意識が向いていない状況です。
なぜ日本はこうもボランティアが定着しにくい国になってしまったのでしょうか?
2021年に日本財団ジャーナル編集部が取材している内容によると、
内閣府が3年に1度実施している「市民の社会貢献に関する実態調査」の結果(※)では、2018年の1年間のうちボランティア活動経験のある人が17パーセント、ない人が83パーセントと、圧倒的に経験者が少ない。
中でもボランティア経験率が低いのは、会社員12.9パーセント、派遣社員・契約社員・パート・アルバイト14.3パーセントといった、企業勤めの人々。ボランティア活動への参加の妨げとなる問いに対しては、「参加する時間がない」51.4パーセント、「ボランティア活動に関する十分な情報がない34.1パーセント、「参加するための休暇が取りにくい」28.3パーセントと、時間的制約と情報不足を理由に挙げる人が多い。
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/66223#:~:text=%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%82%E5%8A%A0,%E3%81%AB%E6%8C%99%E3%81%92%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%80%82
上記によると、働いている世代は忙しすぎて時間が取れないと述べています。そうなると、その人たちの視野は狭くなってしまい、自分の手の届く範囲での活動に限定されることもあり、他者からの評価を得られる機会も少なく「鬱傾向」に向かいやすいのかもしれません。
また、このような方々に子供がいる場合でも、親御さんがこれだけ疲弊していると、子供を連れてボランティアに行くという気持ちにはなりにくいでしょう・・。休みの日はのんびり自宅で過ごしたい・・そういう気持ちになってしまいがちです。
これからの令和の時代は親も子も自己肯定感を保ちにくい時代になっているところがあります。
だからこそ、改めて、このボランティアも見直されるところがあるのかもしれません。
ボランティアというよりかは、Give&takeの発想で、ボランティアの行事に参加はするが、その見返りとして「自分自身の価値観を高める」というように考えれば、心のトレーニングやうつに負けないメンタルトレーニングも兼ねることになり親御さんにとっても有益なのかもしれません。さらに活動を挟めば運動不足も解消されそうです。そういう「見返り」という目線もあってもよいのではないかと考えます。
その活動に子供を巻き込めたのならば、自分のため、子供のため、社会のためと「三方良し」となるかもしれません。
ボランティアの方法としては多々あるのかもしれませんが、子供たちを中心とした活動事例を4つ述べてみようと思います。
①町内会の清掃活動
まずは身近な地域から、各種清掃活動を始めて近隣に貢献するところからが準備体操になりそうです。我が家も手伝っていますが幼児であった場合はそこで子供同士仲良くなるというオプション付きですし、学童以降で会った場合は、近隣の方々からの感謝を直接受けられる良い機会になるかもしれません
②市区単位でのボランティア活動
次により規模の大きい行政単位でのボランティアになってくると、規模間も大きくなりより色々な人からの感謝を頂きやすくなります。同じ世代のイベントに参加することで、ボランティアを通じて交友を深めることも可能です。人が頑張っている姿を見ると、それにあてられてふさいでいた気持ちも晴れるケースがあります。
③環境に恵まれない子供を対象としたボランティアに大人と共に参加
日本で展開しているNPO団体などもあります。東日本大震災やコロナ環境の中で貧困や取り巻く環境の悪化から困っている子供たちに様々な支援を行っています。子供自身が親と共に同じ世代や後輩世代に色々なイベントや事業に取り組んで、他者からの共感や感謝を得られることができれば、大きな歩みに繋がるかと考えられます。
日本の主なNPO法人
①認定NPO キッズドア :大規模で広範囲な子供に対するボランティアを行っている団体です。ここからの情報や、自身らも参加することもできるかもしれません。
②ACTIBO:子供に対するサポートの職種などを募集しているサイトです。子供の直接関与は困難ですが、親が他の子供を支援している中に自身も身を置けば感性が磨かれるかも?
④NPO法人 Learning for All :貧困に悩む子供たちを支援しています。ここから情報やイベント参加を親子で行うのも手かも?
同世代の子と触れ合うとともに、親がそれに参画している姿を子供に見せる事は子供の認知を大きく変える可能性がありそうです。
④環境系ボランティアに参加
①UNICEF(ユニセフ)に親と共に募金。その募金結果を親子で共有する(HPからの情報や取り組み事例や街並みの絵の供覧など)
②ACTIBO:前述のボランティアなどを紹介するサイトです。環境系ボランティアも網羅しています。また自身の住むエリア単位でまとめてくれているのですごく参考になります。
③認定NPO法人自然環境復元協会:現在は東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府で活動している団体で、レンジャー隊として
子供が好きなものを好きなだけさせてあげるという「容認」は、状況によっては、より一層子供の世界を狭めるとともに「鬱状態」を悪化させる可能性もありえます。
なるべくなら、子供と対話し、子供の好きな方向性と社会活動をリンクさせ、他者からの感謝を得られる経験を摘ませてあげることが重要な要素になるのかもしれません。例えば、「動物と触れ合うのが好き=動物の世話をする農業体験」など。中にはボランティアにとどまらず、善い行いをしたことに伴う相手からの直接の見返り(おいしい食事とか)もあったりするかもしれません。
なるべくなら、このようなアクティビティを通じて、ふさぎ込みやすい青少年期を支えて行ってあげたいものですね。
海外では当たり前として根付いている「ボランティア」。これを我々も無償で見返りがないものととらえるのではなく下記のようなメリットがあると考えれば重い腰も上がりやすいのではないでしょうか?
【親子がボランティアを子育てに取り入れる10のメリット:他にもあるかもしれませんので、あれば教えてください(笑)】
①社会貢献できているという実感
②子供と大人の共同作業としての場
③子供の自尊心トレーニングとしての活用の場
④自分自身の心のトレーニングとメンタルヘルスケアの一環
⑤将来の子供のうつ予防や社会的活動の興味の醸造
⑥アクティビティを通じて親子共に運動不足の解消
⑨同世代や違う世代の交流の場として付き合いの場が広がる可能性
⑩何よりも人から感謝の意を頂ける絶好の場でもある
一人でも多くの子供が健やかに育ってもらえることを願っています。
今回のテーマとは異なりますが、自己肯定感を高めるための方法として、プロアスリートの発想からの学びを動画にしています。もしよろしければご覧になってください(チャンネル登録までいただけたなら、動画作成意欲も増します(笑))
コメント