少子化問題と発達しょうがい激増で揺れ動く社会。
今の令和を取り巻く社会問題は、昭和の時代とちょっと変わってきています。
少子化問題も30年ほど前から問題視されており、いずれこのような歪が生じるということは言われていました。それに対して明確な対応を打てなかった事で、今その影響がじわりじわりと出てきています。
障がい認知に関しても、昭和時代に比べ令和時代で飛躍的に高まりました。
ここでいう「障がい」は知的遅れがなくても、親子が生きづらさを感じるものと定義しています。それには「ADHD:注意欠如多動症」「ASD:自閉スペクトラム症」「LD:学習しょうがい」その他の神経発達症などを含みますし、グレーゾーンの問題も含みます。
この認知に関してはメディアが大きな影響を担っています。少子化問題にしろ、障がいの問題にしろ、飛躍的にその認知が良い意味と悪い意味で拡大しています。
メディアの媒体は、テレビという範疇を超え、インターネット、ソーシャルメディア、識者が書いた書物など多様生を増しています。
今回、このメディアについての影響で、非常に興味深い論文が出ていたので紹介したいと思います。
先に、メディアのポジティブな影響について見てみます。
【引用】Using Popular Media to Change Attitudes and Bolster Knowledge About Autism Spectrum Disorder
J Autism Dev Disord. 2023 Sep 26.(アメリカ:キャメロン大学)
【何について調べているか?】
ASDの理解において、従来の大学教科書と比較して、大衆小説が読者の知識や態度に与える影響について調査
【何がわかったか?】
小説でASDについて知った人と教科書でASDを知った人に対して、研究前後でASDについての知識のテストをした結果、小説で知った人は読書後にASD者に対する態度の有意な改善が見られたのに対して、教科書で学んだ人はASD者の社会に対して与える影響について触れた章を読んだ後より否定的な感情を持つようになってしまった
【日常にどう活かす?】
今回の研究は、小説のような一般の書物の方が、専門的な教科書よりASDの認知を改善させるという結果になっていました。
ただしこの研究には注意点もあり、
✅どんな記載の仕方の教科書だったのか?
✅今後の検証も同じ傾向となるのか?
✅もともと読んだ人がどんな方々だったのか?
という点も気になるところではあります
ただ、事実ベースに基づいた直接表記の専門書は受け止める人にとってマイナスに働いていたことは興味深いところです。
例えば、「ADHDなどは遺伝的な疾患でもある!」という事実だけを記した書物やニュースを見てしまうと、養育者も一般の人も悲しみや否定的なイメージを持ちやすくなることもあるでしょう。
専門書を手に取る一般の人々は少ないかもしれませんが、専門書も「問題となる事実だけ」をそのまま表記するのではなく、表現の仕方とそれに対するアプローチや解決策をきちんと表記していく必要があるのかもしれません。
一方で、ストーリー形式で描写も読者がイメージがしやすい小説では、読み手のイメージを好転させるというポジティブな面があったところは興味深いです。
先程の例でいうと、「ADHDは確かに遺伝的な疾患だが、その後の養育環境や環境要因で大きな成長を遂げ、社会に出てからはその特性を武器にして、世の中に貢献している。その実例としては・・・」という表現になると、将来の見通しのための手段を検討する必要があるというイメージになります。
より読み手の実生活の関連でイメージしやすいようにするか?という、認知上の工夫がより必要だなと感じさせられます。最近もどちらかというとストーリーテリングな内容でアニメや漫画を使った情報発信も増えているように思えます。
一方で、やはり恐ろしいのは、「センセーショナルな話題」ほど視聴者の意識を引きやすい時代でもありますので、マスメディアや情報発信者は、「話題性」だけをピックアップするのではなく、「正しい情報」と視聴者の「前向きな」気持ちに繋げてあげる発信をより一層考える必要がありそうです。
論文の中でいうと、ASDの単なる否定的な事実ベースの問題意識共有だけだと視聴者は悪いイメージのみを残してしまいます。
そのイメージをどう「人々の気づき」や「解決策」をセットにして発信して行く報道姿勢がより望まれてくると思います。
次に悪いイメージについてです。
昨今、「発達障がい」の問題はテレビでもネットでも見ない日はないくらいニュースで溢れかえっています。
「良い意味」では早期対応のために布石になりますが、「悪い意味」では、少しの発達のゆっくりさで、経過観察だけでも十分な可能性がある方でも、「診断」のために、小児精神科医の外来に親御さんたちが駆け込み、予約待ちが数ヶ月待ちになるというような医療問題にも発展しています。
この点は交通整理が本当に重要な一方で、メディアはその点の線引きなどお構いなしに問題点のみの情報を出したため、このような自体に発展したと言っても過言ではありません。
数年前から考慮しなければならなかったのは、
✅発達の問題は幼少期では判断は難しいため、事前にカウンセリングを挟む
✅検診時の内容をもとに判断(勝手なネットでの自己判断は危険)
✅事前に家庭での観察を記録しておき開示できるようにしておくべき
✅予約が取れない問題がある。先を予測した予約の取り方の重要性
✅予約をしている間に何もしない訳にはいかないので代替え案の提示
✅識者からのコメントを引用して、善後策を立てることの重要性を提起
などなどが挙げられます。
つまりは、少子化問題も発達障がい問題も、起こるべきタイミングはわかっていたものの、それに対する解決策や対応をセットで論じられていなかったところに尽きるとも言えます。
ここから先に考えなければいけないのが、「障がいに対する認知」です。多様性や合理的配慮が喧伝されていますが、それ以前に、「我々が正しい認識を持って、それを個性とみなし、社会で活躍する人材に育てる」というSolutionを社会もセットで提案する必要があります。
養育者にしても、協力者にしても、子ども自身に対しても「正しい知識を生活に落とし込んだ具体的でわかり易い表現」で提示していくことが求められそうです。
最近はこれらの社会問題に関する対応策を論じている情報も増えてきています。
できれば昭和、平成時代にも論じられてほしかったですが、良い傾向になりつつあると若干は感じています。
今後、マスメディアでは、少子化問題の場合ならば、
🙅結婚するデメリット
🙅子どもを持つことによる不自由
🙅多様性という名の「独身賛美」
🙅やりたいことをやれる社会で個人主義の推進
🙅貧困だから結婚できないというマインドの醸造
🙅国からの補助がないから結婚できないんだという思い込み
という特定層に傾倒した情報を垂れ流すのではなく、
💡結婚によって得られたもの
💡子育てを通じて得た人間的成長
💡多様性の社会での「子育て賛美」
💡やりたいことに子育てが上がる社会
💡貧困でも結婚して頑張ってる夫婦のストーリー
💡国じゃなく自分で稼ぐ重要性
などのプラス転換をして、ポジティブイメージを推進してもらいたいものです。
発達障がいにおいては
✅互助会の存在と、ケースから学ぶ子どもへの対応
✅専門家の所属するコミュニティへの参加
✅仕事、家事、育児のバランスの工夫
✅正しい情報を識者からの発信に切り替え
✅医療問題と社会問題の認識に強化
✅障がいではなく個性として、成功できるイメージの強化
✅過去の失敗例から学ぶ令和時代の向き合い方
など、マイナスをプラスに転じて、解決策とセットにした発信を願いたいものです。
(現状、このような発信も増えつつあります)
私も「いち発信者」として、わかりやすく、そして未来を見据えた提言を意識してこの社会問題と医療問題にリーチしていきたいと思います。
情報発信側としてはより一層大変となりますが、小説での話にあるように、「未来に希望を持てるストーリー性のある正しくもわかりやすい情報」を出せていけばイーナーって感じてます💦
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