ついにうちの子も小学生か・・。色々言い聞かせても全く動いてくれないし、すぐに癇癪を起すし・・本当に大丈夫なんだろうか。。
そんな事言わないで!がっこう行きたくない!べんきょうきらい!びえええぃいいえぇぁ!!
はぁぁぁ・・こんな時にはなんて声掛けをしてあげたらいいのか・・。
多感な時期の子育ては本当に大変なものですよね・・。声かけのタイミングだけではなく、相手の特性などを考えて声掛けをする必要もあります。さらに子供も親の言葉の影響を大きく受け過敏に反応したり、後々に影響が出たりします。
我が家も今年、子供も就学を迎えることになりますが、この時期は子供としても気持ちが揺れる時期でもあるため、かなり気を付けて対応する必要があるなと感じています。皆様のご家庭ではいかがでしょうか?
今回は、海外の研究内容をベースにして、「子供が学校生活を(自分の感覚で)努力できるようになる声掛け」の研究がまとまっていますので、皆さんと共に考えてみたいと思います。
この記事は、
①子供の就学準備を行っている親御さん
②子供のやる気がなくて困っている方
③子供の将来の自己肯定感や共感力(レジリエンス)を養ってあげたい方
④子供の不安を取り除いてあげたい方
上記の方々の参考になればよいなと思って作成しています。
本日紹介する内容は、下記の書籍に引用されている論文も含めて解説しています。内容は下記の書籍とは重複はしていないため、本記事にご興味がある方は手に取ってご覧になってみてはいかがでしょうか?
後出しじゃんけんで、私も今後の発想のために書籍を購入して学習する予定でいます(笑)
それでは本題に入りたいと思います。
そもそもなぜ子供は癇癪を起す?
癇癪を起す背景には色々とありますよね。色々な要素が織り交ざっているため単純ではなさそうです。
①自分の思い通りに物事が進まない(そのことに対する頭の整理が追い付かない)
②癇癪を起すことで相手の注意を引く一種の愛着行動
③環境の変化や考え方の変化に伴う「不安」が強いためイライラしてしまう
などが挙げられるといわれています。
環境の変化や物事に対する理性の調節が中々うまくいかない。意外とこれって大人にも当てはまったりすると思いませんか?
我々も頭の中で考えてる事が今の状況と結びつかない時には混乱することがあります。大人でも混乱しがちな「環境の変化」の時期は子供にとってはより大きな混乱の時期になるといえそうです。その理由は子供の脳は発達上、認知や理性が未成熟なためであるとも考えられています。
じゃあこの時期に我々は子供をどうやって支えてあげればよいのか?この時期に親が子供のためにできる4選を紹介したいと思います。
何の道具もアプリもツールもいりません。必要なのは「親の存在」と「親のスタンス」です。
①今の「感情を整えるトレーニング」は後々の大きな財産になる
先ほども述べましたが、大人でも感情を整えるのは容易ではありません。例えば、失恋だったり、試験に失敗したり、業務が切迫していて焦っていたり、相手から心ない言葉を投げかけられたり・・。我々が辛い思いをしている時「こころのリカバリー」をいかにして行うか?実はこのトレーニングが就学前からすでに始まっているのです。
この「こころのリカバリー」の力を「レジリエンス」としても表現されています。
このレジリエンスとは、困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応できる能力」「うまく適応していく過程」「適応した結果」を意味するものであるとされています。
我々も経てきた成長の過程と同じで、子供達もこの時期に大きな成長の転換点を迎えているといってもいいでしょう。
海外事例で一つ興味深い報告もあります。下記の論文はアメリカの論文で、「共感」と「社会的行動」は子供の社会適応上重要であるという事を述べています。
157名(平均年齢9歳)の子供の共感と社会行動を評価する面接を実施し、面接官が様々な質問を子供に行って、子供の感情をスコア化して評価しています。結果として、感情を調節する力が高い子供は、共感と社会的行動の高い順応性を示すことが明らかになったという事です。
この論文は学校における社会性と情動教育の重要性を示唆しており、アメリカでの教育現場でも取り入れられつつある内容となっています。このことからも、子供たちが環境の変化の際に体験する「不安」を乗り越える事ができる事が、子供の「レジリエンス」力を高め感情を調節する能力を身に着ける事ができることになります。
揺れ動く子供の感情を生じる場は、子供をより強くするための一つの儀式として考えられるのかもしれません。
子供が大きく羽ばたくのに重要なのはよくわかりますが、どのようにしたら親がこの時期の子供のこころを支えてあげられるのでしょうか?
次の項目で具体的な取り組み事例を紹介していきたいと思います
②子供に最適な声掛けとは?最新リサーチから考える!
この時期は、難しい言葉や名言を並べたところで子供には響きません(私も経験済み)
さらに、理解を示したかのような上っ面な言葉では、子供の感情が炎上しているときには通用しませんし、多様すると子供も耐性ができるのかあまり言葉に耳を傾けなくなってきます(私も経験済)
一方で、意外にも子供が耳を傾けるポイントを作りやすい言葉があります。それは「褒めるワード」です。かつてより褒める事が子供を伸ばす!という事は言われ続けている事ではありますが、就学前の子の不安定な状況でも最大限の力を発揮してくれます。この「褒めるワード」をタイミングよく使っていく事が重要になってきます。
この点は国内外の研究結果からも明らかとなっています。
海外では1992年からすでにこの「褒めるワード」の有用性は実証されており、子供を褒めることは「自己肯定感」や「自尊心」を高めるきっかけつくりとなり、学習や関心の動機づけを促す。と科学的に実証されています。
30年前にもうすでに重要性は語られているという・・。驚愕の事実。あとは、我々親が今の時代にこの概念をマッチさせて、子供のこころの発達に利用していくか・・?この点が重要になりそうですね。
子の重要性は受け継がれ、日本でも、子供に対する親の「褒め方」が子供の将来に影響するというリサーチを出していたりします。
この研究は日本の独立行政法人経済産業研究所が行った研究ですが、かなり興味深い内容になっています。
親の子供への「褒め方」「叱り方」で成人後の子供の性格や行動にどういう影響が出るのか?を検証しており、日本ではおそらく初めての大規模調査ではないかと思います。
下記の図が特徴的なので、引用させて頂いていますが、「親の叱り方が子供にどのような影響を与えるのか?」についてみています。
上記のレーダーチャートは、親からの3つの声掛けで子供がどういうイメージを持ったのか?を示しています。「罰を課す関連の言葉」「どうしてできないの」「次は頑張ろうね」という問いかけが、子供の「自己決定指標」「安心感」「計画実行能力」「法令順守」にどういう影響を与えていたのかを見ています。
この指標は様々な要因を調整した計算式で出されているので、項目別では有意な差が出ていないものもあります。なので参考の一環という事で見てもらいたいのですが、「次は頑張ろうね」という声掛けが最も子供にとって安心感を与え、自己決定や計画実行、そして決まり事を守るという行動に結びついていたことが分かります。逆に、「どうしてできないの」や罰を与えるような言動は・・いうまでもなく子供を委縮させている原因になっているというのがよくわかります。
次に「褒めるワード」はどうなのか?
褒める言葉そのものは子供にとって重要ではあるのですが、先ほどの指標を「褒美をもらった」「えらいね」「頑張ったね」という言葉で区分けしてみたところ・・、報酬系だけだとこれまたひどい結果に(笑)。一方で褒め方も「頑張ったね」が最も良い傾向であったという事は興味深いところかもしれません。(※報酬系も中には動機付けにはよいという報告もあります。ただ程度もありますし、当たり前になってしまうとこどもも勘違いすることがあるので注意が必要ですね)
たしかに、「お片付けしたら、テレビ見せてあげる」とか多用していたような気が・・?
えーん!お片付けしたのに、なんでもっとテレビ見せてくれないのよー。ぎゃおー!!
となっては元も子もありませんね。つまり、このデータで良いとこ取りをするのならば
「お片付けできなかったけど、次は頑張ろうね」×「よくお片付け頑張ったね」のダブルワードが効果的なのかもしれません。
③結果より過程が大事であることを教えてあげる
先ほどの内容を見て、もうピンと来られた方も多いかと思いますが、一番のポイントは「結果」ではなく「過程」を認めてあげるところにあります。子供たちにとって「報酬系」だと「結果」という短絡的な見方に陥りがちになってしまう点に注意が必要です。
思い起こせば、私自身の生い立ちも「報酬系」だったような気がします。「学校の成績で良い点数を取ったら、●●を買ってもらえる」というモチベーションになっていたのかもしれませんが、そこで学んだことが「自分の知識」になっていたのかどうかは疑問ですね・・。つまり受け身になってしまっており、自分が「能動的」になれてなかったことがよくわかります。
ビジネスでの部下の評価をする際にもよく言われるポイントではありますが、「結果より過程が大事」であるという事を、子供のうちから意識づけをしておくことが重要です。社会に出た際に結果重視であれば、柔軟なアイデアや発想が生まれてきません。また結果を追い求めるあまり、周りとの協調性も欠くような行動に繋がってしまう事もあり得ます。なので子供のうちに、うまくこの点をコントロールできるようにしておく必要がありそうです。
また、「結果より過程が大事」というこの考え方は、「失敗は成功の基」と同じ概念でもありますね。
「何度でも何度でも失敗をしていい。今までやってきたことは無駄になっていない。その失敗の積み重ねが成功の基となる。だから結果よりも過程が大事なんだよ」と伝え続ける事で、子供の意識はだいぶ変わってくると考えられます。
そして、就学前にこの声掛けをできるのは、我々親ってことになってくるわけですね。
④親の共感が子供の不安を止める!
我々親が、子供の環境の変化の下支えをしてあげることの重要性は先ほど述べたわけですが、これを科学的に見ている海外論文もあります。
イスラエルの報告ですが、親の共感は子供の社会的適応に重要であると述べています。この研究は親の脳の反応と子供のコルチゾール(副腎皮質から出るストレスホルモンとも言われている)と感情と行動とにどうかかわっているのかを調べています。
この研究は87人の親を対象に6年間も追跡調査をして研究を行っているというからかなり長い期間追いかけたものだと感じます。イスラエルと日本は生活様式も文化も異なりますので、あくまでも参考・・という事にはなりますが、親が自分の乳幼児を育てる時に、親の脳のネットワークがうまく調整されていることが子供のストレス緩和や情動コントロールをうまくさせることに影響していることが分かったようです。つまり「親の脳の共感関連のネットワークが子供の発達に重要な役割を示す」ことを示しています。
ではこの共感を我々がどう意識して、子供に認知させるか・・というのは、先ほど述べた「褒めるワード」を我々が意識して使い、自分の中に共感脳を作り出すコントールを取りつつ、相手側に伝えていく・・。という事を意識して行っていく事が重要とも考えられます。
つまり、自分自身に「相手に共感する」というマインドコントロールをかけるみたいなものだね
もう一つ極端なケースではありますが、下記のような報告もあります。
アメリカからの報告ですが、この研究は子供の感情認識とサイコパス(一般人と比べて著しく偏った考え方や行動を取り、対人コミュニケーションに支障をきたすパーソナリティ障害の一種)の傾向を調べている研究となっています。サイコパスのタイプは2つに分けられ、一次性サイコパスは他人の感情を利用する能力が高い「利己的」タイプと二次性サイコパスは感情認識が低い「感情欠如」タイプであるとされています。そして2次性の感情認識の低さは「早期逆境」や「幼児期のネガティヴ感情」と関連していた。とされています
かなり最悪なケースではありますが、単なる通過点であるはずの就学準備のタイミングで、子供の感情や共感力を鍛えておいてあげなければ環境的な要因から子供の将来の生きづらさに直結する場合もありそうです。
早い時期から、我々親も意識して共感力を鍛え、子供自身の内面のトレーニングを行ってあげる必要がありそうです。その点で言えば、就学タイミングは子供が環境適応する際の一つのトレーニングの場であるとも考えられるのではないでしょうか?
就学前は親と子供の修業の場
私も今回のリサーチを通じて痛感しました。一つ一つのイベントでも親の認識次第で子供にとってのターニングポイントになっていたのだと・・。ごめんね娘っ子たち。
そうだよ!私たちも何気に色々頭の中で考えているんだからね。もっと私たちを見てよ!!
我々も一つ一つの節目の時期に、子供をもうちょっと観察していく必要がありそうです。過干渉過ぎるのは問題ですので、まずは子供自身に動かせ、動きが止まったときに、背中をそっと押してあげる「褒めるワード」を使う。そして、またゆっくりとでもいいから動かせて経験を積ませていく・・。そのようににしていく必要がありそうです。
今日述べた、「結果よりも努力を褒める」事の重要性は、下記の書籍でより具体的に紹介されています。日本の旧来のやり方では、今後荒波にもまれる子供達を守ってあげることはできません。劇的な変化を生き抜くためのアイデアが満載です。
今回私が述べた考察は、私が独自リサーチで引用した論文が主体でしたので、それに加えて、この書籍での学びを活かしていけば、もっと視野の広い子供達をどう支えていくべきかのアイデアに触れる事ができるかもしれませんね。
単なる通過点と思われがちの、「就学前」「進級前」「中学・高校入学前」
このタイミングを見過ごさず。親が子供に示す「共感」が子供の「レジリエンス」を鍛えるきっかけになればいいなと思います。
また、別の角度で子供の就学準備に役立ちそうな内容をまとめていますのでご参考になれば幸いです。
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